とある作曲家の日常

作曲家・ピアニストをしている私の日々の生活を綴ります♪

意図しない盗作

 他人のメロディをそのまま盗もうなんて考えは、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがありません。バレるのは時間の問題なのに・・。どうせならカバー、として魅力的なアレンジを考える方に費やすほうがよっぽどいいと思います。
 だがしかし。曲の覚え・記憶力、がいい人ほど、思いついたすらすらでてきたメロディが他人曲だと気づかずにオリジナル曲として発表してしまう可能性があるかもしれません。プロの作曲家は、すらすら出てくるのが、「インスピレーション」なのか「記憶」なのかをシビアに見分けなければなりません。
 幸い私は1曲のメロディさえ完璧に覚えるなどできない人なので(ピアノを弾いているうちに、あるいは歌っているうちにどんどん違う曲になっていく・・)、盗作疑惑、にはおそらく無縁と思っています。
 一方で「芸術は模倣から始まる」ということばがあります。これも真実と思います。ただ「模倣」と「まね」は違いますね。「模倣」はその作品の精神性や、エッセンス、どこが魅力的なポイントか、ということを見抜き、それを自分なりに消化して、自分なりに作品に取り込み生かしてみる、ということであり(この時点ではまだ「習作」と呼ぶべきですね)、「まね」は、ただ表面的に技術的に同じように作ってみるということで、志の深さがないただのコピーです。
 と・こ・ろ・が。昔私の娘が小さい頃、彼女が作品制作中に「盗作疑惑」が・・^^;。若干5歳の時だったと記憶しています。ピアノ教室のある発表会で披露するために簡単な曲を作らせ始めていましたが、断片アイデアはいろいろ出てくるようで、ご機嫌にピアノを叩いて「こんな楽しい感じどう?」とか言いながらモチーフを集めていました。
 で、一度娘がすらすらとメロディを弾いて「どう?」と言ったのがなかなかよい感じだったので、「よしこれを基本にして作ろう」ということになり、楽譜も作り始めました。
 ところがそれから間もなく保育園のクリスマスイベントがあり、そこで歌われていた
ある歌に、そのメロディが酷似していた・・。
 まだ5歳なので、メロディの創作・所有・著作権ということにはもちろん理解が及んでいないのはもちろん、すらすら出てきて良さげなので自分が作ったように思ってしまったのでしょう。あるいは、「伴奏をつけること」も作曲の一種で、ネタとなるメロディは聴いたことがあるのと似てていい、と思ったのかもしれません。いずれにせよ本人に罪の意識などは皆目ないだろうし、むしろ5歳が作ったにしてはちょっとできすぎ?というところを見抜けなかった私の親バカも原因だったのです。

 もちろん、1から作り直しました。今度は娘に「これは何かの歌じゃないよね?」と確認しながら(笑)。